日本人の好む「腟外射精」の避妊失敗率は27%

「膣外射精」なぜ危険?「彼はちゃんと外で出したのです。それにもかかわらず、どうして妊娠するの?」。今にも泣き出しそうな表情でこう訴えるのは高校3年生のKYさん(18歳)。当事者は想定外の妊娠というけれど専門家からは想定内の話なのです。

しばしばメディアに登場する「第2回 男女の生活と意識に関する調査」によれば、日本人の避妊法選択の第1位は「コンドーム」(72.9%)、第2位は「膣外射精(外だし)」(16.4%)。3位以下を大きく引き離しています。いわば日本人が最も好む避妊法のひとつといっても過言ではありません。僕からいわせてもらえれば、男性支配を許している日本社会の象徴ともいえなくもありません。

「外だし」の危険性はいったいどこに潜んでいるのでしょうか。100人の女性が1年間に「外だし」だけで性交を行った場合の妊娠率、言い換えれば避妊失敗率は、理想的に行われたとしても4%、一般的には27%といわれています。経口避妊薬(ピル)では0.3〜8%、コンドームが2〜15%ですから安心して任せられる避妊法とはいえないわけです。その理由とは?

これ以上子どもはいらないと決めた男性が行う避妊法が精管結紮術。別名パイプカット。要するに精子の通り道である精管を閉じてしまう方法です。だからといってその後、空砲のようになってしまうわけではありません。精液の大半は前立腺や精嚢からの分泌液だからです。先日、米国留学から帰ってきたばかりの新進気鋭の泌尿器科医と話す機会があり、この点について問い詰めると、意外なことが明らかにされました。精管結紮術を施した後にも、射精した精液には精子が6カ月間くらい存在するというのです。もちろん妊娠させるほどの能力が残っているわけではありませんが……。結論的には、手術後避妊が確実になる条件としては、30回の射精(精子の通り道を何度も何度も洗い流す)あるいは2カ月以上経過することのいずれかを満たした時ということになりました。としたら、「外出し」による避妊がどれほど危険であるかは一目瞭然です。射精直前に女性から離れるタイミングの問題ではなく、2カ月間の禁欲ができた男性だけに許された方法だということです。

僕自身も以前「腟外射精の研究」をしたことがあります。新宿区市ヶ谷近辺の体育系大学生10人が、「1分半5000円」の誘いに乗って協力してくれました。条件は直前1週間の禁欲。スライドグラスとシャーレ(平皿)、H本を持ってトイレに直行。刺激→勃起。ガマン汁(カウパー腺液を含む液体)が出てきたところで、スライドグラスにそれを塗布。その後、刺激再開、そしてシャーレの中に射精。検査室では早速シャーレ中の精液検査を実施し正常精液(1回の射精で2〜3cc、1cc中2千万以上、運動率50%以上、奇形率50%以下)であることを確認。ガマン汁中の精子を顕微鏡でチェック。精液を採取できたのは9人。お1人は最後まで射精がかないませんでした。もちろんそれでも「努力賞」として5000円は差し上げましたが……。

射精できた9人の精液は正常。ガマン汁中に精子を検出した者もいました。この結果をどう読み解くかは議論の分かれるところですが、禁欲がかなわない性欲の強い若者には「外だし」による避妊は期待できないということです。しかも、「外だし」ではエイズを含む性感染症予防にもなりません。「外だし」のたびに緊急避妊法(第7話、第65話、第91話)で金を使うか、中絶やエイズの恐怖と向き合うか、それとも女性が主体的に取り組めるピルや子宮内避妊具のような確実な避妊法とコンドームとの組み合わせで「幸せのセックス」を選ぶか。正解は見えてはいませんか。

そもそも腟外射精は避妊ではありません。コンドームによる避妊確率が0%でないのは、「射精する前にだけコンドームをつける」とか「つけかたがゆるい」とか、そういう人為的ミスがあると思います。セックスをする前、カウパー腺液が出る前にコンドームをつければ確実に避妊できるでしょう。

もし心配なら最強の避妊方法、「ピル」が良いと思います。ピルが0%でないのは、飲み忘れなどの、やはり人為的なものであると思います。結局、避妊できるかできないかはその人次第ということです。(何がいいたいか、分かりますよね?)

 
 


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